「ちょっと待ってよ!ノート借り
たぐらいで、なんで家来だの召し
使いだの…」

意義を唱えようとしたら、じろり
と睨まれ思わず怯んだ。


「ノートのおかげで恥かかずに済
んだんだろ?だったら、その行為
に見合うお礼をして貰わないと
な。世の中そんなに甘くはない」


ぐっ…言い分は確かに的を得て
る。
私は言い返す言葉がなくて、たじ
ろぐ。


「だけど、召使いって!」

「なんなら奴隷でもいいんだぞ」


……黒川がこんな奴だと知ってた
ら、ノートなんか借りなかったの
に…。


「召使いって、一体何すればいいのよ」

召し使える気なんてなかったけど
参考の為に聞いてみた。


「俺様の言う事をなんでも聞く事」

「な、なんかエッチな事要求する
んじゃないでしょうね…」

「アホか。俺様は貧乳で寸胴のお
前なんぞ興味はない」

「悪かったわね…貧乳で…」


とことんむかつく奴ーーー!!
なんでこんな奴の言うこと聞かな
きゃならないのよ!


「とにかく、そんな無茶な要求
断固拒否させてもらうから」


返事を待たずに席へ戻ったら、だ
いたいの事は聞いてただろう智香
が、ニヤニヤしながら寄って来
た。


「仲いいねえ」

「冗談じゃないよ、あんな奴」

イケメンで確かに王子みたいだけ
ど、とんでもない事を要求する
サディストだ。


「でもさあ…助かったんでしょ」

「う、うん…まあ」

確かに、あの時ノートを貸しても
らわなかったら、私は今頃小山に
ネチネチ嫌味を言われ、ひょっと
したら予習をして来いとか言われ
てたかもしれない。


「王子ってプライド高いみたいだ
からさあ…ちょっと従順なフリし
てれば、すぐに満足するんじゃな
い?」

「…そうかなあ…」