数学の時間、当てられた私はノー
トのおかげで完璧に答える事がで
き、珍しく小山に褒められた。


ありがとう、ほんとにありがと
う。


授業が終わって
私は足取りも軽く、黒川の所へノ
ートを返しに行った。


「これありがとう!ほんとに助かったよ」


極上の笑みでノートを渡して、何
か気のきいた事を言わないとって
思った時だった。


「お礼は」


「へっ?」


「お礼をしろと言ってる」


あれ?私ありがとうって言ったよね?
まあいいや。


「どうも、ありがとうございました」

改めて、感謝の言葉と共に頭を下げてみた。


「バカかお前」

ムカッ!何こいつ!


「人に助けてもらって、感謝の言
葉だけで済むと思ってるのか?」


「えっ…お金でも払えって事?」


「金なんぞいらん」


「じゃあ…なによ」

もしかして何かおごれって事かな?
私はおずおずと申し出てみた。


「ええっと…ランチ一回分と
か?」

私の提案は問答無用で却下され
た。

「じゃあ何がいいのよ」

黒川は、その時初めてニヤリとほくそ笑んだ。


「おめでとう、今日からお前は俺の家来だ」

「はあっ!?」

いきなり何言ってんの!?わけわかんない!!


「家来って…」

「家来がイヤなら召使いか」