「どしたの?」

「メールみたい、誰からだろ?」

パカッと画面を開くと

『今すぐ図書室へ来い』

と言う黒川大魔神からのメールが

…。

「あは!王子からの呼び出し?」

一緒にディスプレイを覗き込んで
た智香が、しょせん人事のように
笑った。

2時間目の休み時間、俺はご主人
様だから携帯アドレスと番号を
知る権利があるとか言って、教え
るはめになったんだった。

私に安楽の日はないのかなあ…。

『今お昼食べてるから、無理』

精一杯の反抗だった。
なんでもかんでもあんたの言いな
りになんかならないよ、と言う私
のアピール。

すると、ものの数秒で返信が来て

『コロス』

の文字が…。

「ひっ」

思わず口に出ていた。

「どしたの?」

心配した智香が声をかけてくれた
けど、私は急いで立ち上がり図書
室へ向かう事にした。

「…行ってくる」

走り出した私の後から、がんばっ
てねのエールが聞こえたけど…め
ちゃくちゃ気が重い。

黒川はコロスと言ったらほんとに
やりかねないだろうし。
逆らったらほんとに何されるかわ
かったもんじゃない。

かと言って、このままおめおめと
黒川の家来に成り下がってるのも
癪に障る。

どうしたら、黒川をぎゃふんと言
わせられるだろうか?

もう、家来になれなんて言いませ
んって土下座させてやりたい。

でも、その為には相手より秀でて
なきゃいけないわけで…今の私に
は、あいつに勝てる物など何一つ
としてない。

これは長期戦覚悟かなあ…。