本人は隠してるつもりのハゲを皆に曝してまであたしたちを追い掛けるって……何で?

「お前遅いなぁ」
結構後ろに居たはずの二人が何故かあたしの隣に。しかも、顔色ひとつ変えずに走っている。あたしなんて……もうバテてる。
「うるさいっ……」
龍矢は一々ムカつく事を言ってくる。侑士はカチンとくることを言ったりするけど……心配してくれる。
「早くしないと追い付かれるぞ?大丈夫か?」
「うん、大丈夫。……誰かさんと違って侑士は優しいよね〜」
「は!?別に優しくなくたっていいし!」

そう吠えながら先に走っていく。置いていくなんていい度胸だ。
あたしと侑士は止まると、小田先生の方を向いた。

「先生ー、掃除の時先生に当てたのあいつでーす!」
「大釜もあいつでーす」

天誅!小田先生はお前かぁ!と叫ぶと、更にスピードをあげる。
……何十年か前にこの学校の長距離で全国レベル並の記録を打ち立てた小田って……この小田先生?
明らかに龍矢より速いし……陸上部の人並に速い。

「小田先生の七不思議その二。小田先生は幻の長距離ランナー?」
「なんだそれ?」
「あたしが考えた小田先生の不思議……かな?」
七不思議とかでは無い気がするけど……まぁいいや。
「七じゃ足りないんじゃないか?」

言えてる。
あたしと侑士は小田先生に捕まって説教されている龍矢を見て爆笑。
龍矢が恨めしげにこっちを見てるけど、気にしない。
あたしだって説教されたんだから!