絶え間無く会話が続くわけじゃないあたしたち。あたしは、沈黙の時間が好きだ。
ただ楽しいだけじゃ、あたしたちは長い時間を一緒にいられなかったと思う。
二人といれば安心する。あたしたちは親友同士であり、家族でもあるんだ。

「ん?」
「どうした?」
今、誰かに呼ばれた気がする……。
「あ、幽霊じゃねえの〜?」
「やめてよ!」
あたしがそういうの苦手だって知っててそういう事を言ってくる龍矢。悪寒がして身震い。

「杉山〜!」
嫌な予感がして恐る恐る振り返ると、小田先生があたしたちを猛スピードで追い掛けてきていた。
「やべ〜!」
「小田先生って走るの速いんだ……」
「関心してる場合じゃないだろ」
そういう侑士も腕を組んで興味あり気に小田先生を眺めてるし。
「斎藤に……鈴木!」
流石に疲れたらしく、声が出しきれてない。もうそんなに若くないんだから、無理しない方が……。
それにしても、あたしより走るの速くない?

「逃げるか」
「賛成〜」
「捕まったやつは問答無用で見捨てるからな」
可哀相なものを見るかのような目であたしを見る二人。
確かに、二人に比べたら遅いけどさ。見捨てるって酷くない!?

「なっ……は、早目に逃げるが勝ち!」
「ずるっ!」
「龍矢、俺達も行くぞ」

すぐ後ろに迫っている小田先生。疲れてるはずなのに、何故か速い……。
小田先生の七不思議

「待てこら〜!」

小田先生自慢の七三わけが乱れて、輝く大地がこんにちはしてる!