「何やってるんだ?お前ら」
天の助け!あたしは龍矢から離れると侑士の後ろにまわった。侑士は背が高いから隠れるのにはもってこいだ。
「そこ退け、侑士……」
「は?」
「どかなくていいよ!というか、どかないで!」
イマイチわけの分からない侑士と、逃げるあたしと怒り気味の龍矢。
歩いてる人たちはあからさまにあたし達を避けて歩いてる。大回りしてるし!
「何かは知らないが……龍矢、ほらよ。吏遠も」
ペットボトルを龍矢に投げて、あたしにもくれた。これを買いに行ってたんだ。
「やったージュース!」
「サンキュ」
「……罪滅ぼし」
そっか……侑士だけだもんね、小田先生の説教受けてないの。
「クレープ食べたいなぁ……ね、龍矢」
「ラーメン食いたい」

侑士は、はいはいと頭をかくと歩き出した。
え、おごってくれるってこと?

「また明日な」
「えー!」
「暗くなると危ないだろ?」
まぁ……確かに。もう暗くなりつつある。早く夏になればいいのに……。休みだし、遅くまで遊んでられる。
それにしても……侑士は優し過ぎると思う。

「お前は紳士だな、本当に」
「龍矢は野蛮だよね〜」
「なわけないだろ!」
いっつも言い争いに発展するのは何でだろ?
あたしたちを見兼ねた侑士があたし達の間に入った。
「二人とも、早く帰るぞ」
そう言って先に歩いていく。あたしは龍矢にあかんべをすると、侑士の隣まで走った。
「吏遠、お前!」
走ってきて、あたしの頭を下に押す。
「ちょっと!」

いつまでも続く……そうならいいのに。