龍矢が小田先生から開放されたのは、五時を過ぎた時だった。
部活帰りの生徒たちがひそひそ何か言いながら通るたび、龍矢は睨み付ける。
格好が格好だからこわいんだよね……。

「あー疲れた……」
龍矢が肩を叩きながらあたしの所へ来た。
「お疲れ〜」
「お前な……ん?侑士は?」
そういえば……さっき学校の中入っていったよね。何しに行ったんだろ?
「逃げたんじゃね?」
「逃げる必要ないでしょーが」
小田先生は一番の問題児の龍矢に説教したんだもん。
「オレがこわくて」
龍矢が自信有り気に言う。……有り得ない。あたしたちにとったら龍矢なんてこわくないもんね。何となくヘタレだし。

「今何て思った?」
「へ?な、何でもないけど?」
な……何で気付かれたんだろ?
「すっげー人を見下すみたいな顔してんぞ?」
怪訝な顔の龍矢。図星を指されたあたしの居心地は最悪。
龍矢が睨んでくるんだもん。
「なぁ?吏遠?」
「何でもないって!」
こわくないけど……このイヤーなオーラっていうか……視線が痛い。

「顔近い!」
眉間にシワを寄せて物凄い顔を近付けてくる。
「何て思った?」

助けて誰か!誰でもいいから!侑士ー!