「今夜、飲みに来たりはしないかい?」


マスターの誘いに、ゼンは静かに首を横に振った。


「…行かなきゃならない場所が、まだたくさんあるんで」


「こんな美人の誘い断るなんて、どうかしてるよなー」


ゼンの隣で、レキが口を尖らせてそう言うと、ゼンが呆れた顔をした。


「…じゃあ、残れば。一人で」


「うっわ冷た!! ララちゃん、こーいう男、どう思う!?」


「…えっ」


突然話をふられ、私はたじろいだ。


ゼン、レキ…マスターの視線が、私に集まる。


ど、

どうって…



「…ゼ、ゼンだと思う」



素直な感想を述べた私に返ってきたのは、一瞬の沈黙と、


「…や、これがゼンだなんて俺でもわかるから!!」


っていう、レキの言葉。


見ると、ゼンとマスターは失笑していた。


…だって、ゼンらしいなぁって思ったんだよ。