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緑の街、フォーグ。


外観も緑に溢れていたけど、街の中もそれに負けないくらいだった。



お店の周りには、綺麗な花々が植えられ、住宅街もガーデニングが凝っている。


表通りも、街路樹で覆われていた。


「すっごーい…」


思わず感嘆の声を上げ、立ち止まってしまった私の横を、ゼンは普通に通り過ぎる。


「あ、ゼン!待ってよっ」


「…仕事終えたら、時間あるから」


はぁ、とお決まりのため息と共にそう言われ、私は渋々と頷いた。


だって、他の土地なんてほとんど訪れたことのない私。


目の前に広がるこの光景が、珍しいの。



…そりゃあ、ウキウキしたくもなっちゃうよね?


「ねぇ、ゼン。他のみんなは何してるの?」


私がそう訊ねると、ゼンは歩くスピードを落とすわけでもなく、前を見据えたまま口を開いた。