木箱を渡された人から順に、書かれた宛先へと向かって行く。
「…まぁ、正確に場所が書かれてるわけじゃないから、迷うことも多いんだけど。はい、これあんたの」
「あ、うん」
私は、小さな木箱を受け取った。
その木箱を眺めてから、顔を上げる。
「…これだけ?」
他のみんなは、大きい木箱を二・三箱持っていったのに。
ゼンも二箱を軽々と持ち上げたあと、私をちらりと見た。
「…あんた、それ本気で言ってんの」
「え?…だって、私だけ楽するなんて…」
「…あんたにそんな力があるようには見えないんだけど」
………うぐ。
た、確かに自分が怪力だとは思ってないけど。
「でも、非力じゃないよ!…多分」
最後の言葉を、消え入るように小さく付け加えると、ゼンは「ふーん」と言った。
…絶対信じてない。