「着いたぞーっ!」


時は正午。


船員の誰かの号令によって、船がどこかに着いたことがわかった。



自分の部屋にいた私は、その声に反応し、すかさず部屋の外へ出た。


甲板へ出ると、すでにたくさんの仲間がいた。


「…ゼン!」


私はゼンの姿を見つけ、小走りで駆け寄った。


ゼンは数人の船員に命令を下したあと、私を見た。


「…ああ、あんたか。街、着いたけど」


そこで私が不満げな声を漏らすと、ゼンが眉をひそめた。


「…何」


「ゼン、いつになったら私のこと名前で呼んでくれるの?」


いつも私のこと、"あんた"って呼ぶんだもん。


私には、ちゃんと"ララ"って名前があるんだから。


「…まぁそのうち」


面倒くさそうにゼンが言った言葉に、私は何か言おうと口を開きかけた。