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穏やかな風を受け、Queen号は出発した。


賑やかな食堂で、美味しい朝ごはんを食べ終えた私は、一人甲板へと足を運んだ。



港町、ウィラ―――…


遥か遠くに見えるその場所を、私は目を細めて見つめた。



家族を失った私が、辿り着いた場所。


あなたと出逢えた場所…。



「…ごめんね」



待つだけは、もう嫌なの。


信じてる。


信じてるから、私から会いにいきたい。



約束の場所から、私は旅立つけど。


約束は、失われたわけじゃないから。



だから―――…



「…会いたいよ、ロジー…」



私の声が風に乗って、あなたの元へ届けばいいのに。


この海が、私をあなたの元へ連れてってくれればいいのに。





暫くの間、私は甲板に立ち尽くしていた…