まさか、夢にうなされて叫びました、なんて言えるわけもなく…


「む、虫!大きい虫がいてっ!」


と、笑ってごまかした。


「え…そうなの?何だ、昨日の今日だから、心配したじゃない」


ほっとため息をついたニーナに、私は謝った。


けど、ゼンはというと。


「………」


じーっと私を睨んだまま。


突き刺さる視線が痛い…。


目を合わせたら、何もかも見透かされてしまいそうな気がして、私は必死に目を逸らす。


…そんなとき。



「ララちゃん!! どうし―――…」



ドタバタと音を立てて、レキが奥の部屋から向かってきた。


レキは、私たちのすぐ近くで足を止め、ニーナ、ゼン、私と順に視線を移す。


そしてレキは、その口を開いた。


「ゼゼゼ、ゼン…お前まさか…」


「は?…何」