◆◆◆
「…改めて訊くけど…サンは、ロジーなんだよね?」
小さな丘に、そよ風が優しく流れる。
頬にかかった髪を退かすと、驚くサンの表情が目に入った。
…かと思えば。
「~あははははっ!」
急にお腹を抱えて笑い出すから、ムッとしてサンを睨む。
「何で笑うの?」
「…はー、ごめん。疑い深いなぁと思って」
「~だって、どれが本当のあなたなのかわからないんだもん」
優しかったり、かと思えば冷たくなったり。
ころころと変わる表情は、まるで自分自身を誤魔化してるように思える。
口を尖らせてそう言った私に、サンは困ったように笑った。
「まぁ、そうだよな。俺にもどれが本当の自分なのか…よく分からないから」
頭を掻くと、綺麗な赤髪が揺れる。
その姿をじっと見つめる私に、サンは「んー」と唸ってから、少しずつ話し始めた。