私だけを映すその瞳に…ドキッとした。


「ララがいたからこそ…お前は真っ直ぐだったのかな」


サンの謎の発言に、私は僅かに首を傾げた。


私が…いたから?


「…俺のことはもういい。じゃあ、俺は帰るよ」


私が口を開こうとすると、ゼンが先にそう言って歩き出した。


街に戻ろうとするゼンの背中に、私は問い掛ける。


「ゼ…ゼン!? え、もういいの!?」


サンに言いたいこととか、聞きたいこととか。


もっとたくさん、あるんじゃないの!?



私の問いに、ゼンは片手を挙げると、そのまま歩き続けた。


もう十分だと言わんばかりに。


「~~~っ、ゼ…」


懲りずに話しかけようとした私の肩を、サンが優しく叩いた。


「ゼンなりの気の利かせ方だろ。…下手くそだけど」


サンはゼンの背中に苦笑すると、私を見つめた。


「…話、しない?」



―――心臓が、大きく音を立てた。