ぶらりと垂れ下がっていたサンの剣が、ゆっくりと持ち上げられた。
一瞬、斬られるのかと身構えたけど、そうではなくて。
サンは自らの剣を、鞘に収めた。
カチャンという音が鳴り響いたとき、サンは唇を動かした。
「…負けたよ。お前たちには」
そう言って、困ったように微笑んだサンの笑顔は、温かかった。
さっきの音は、サンの心の閉じた扉が…開いた合図だったのかもしれない。
「確かに俺は、ゼンに殺されるまで生きようと、漠然と考えてた」
サンの視線に、ゼンは剣を腰に収めながらも顔をしかめた。
「ゼンになら、殺されても仕方ない。そう思ってたんだ」
「…バカじゃないの」
不機嫌そうにゼンがそう呟くと、サンは声を出して笑った。
「はは！…そうだな。俺はお前という人間を、見誤ってたのかもしれない」
ゼンに笑顔を向けたサンは、突然私を振り返る。
