目を見開いたサンを真っ直ぐと見据えたまま、ゼンは言葉を続ける。
「…サンは、俺に自分を殺して欲しいと思ってる。そうだろ?」
「………っ、な」
「俺がサンを恨み、いつか再び出逢った時…俺がサンを復讐の為に殺す。それが、サンの描いたシナリオなんだろ」
最後まで瞬きすらせずに言い切ったゼンの言葉は、どこか確信を含んでいた。
…私も、そう感じた。
サンは、ゼンが自分を憎んでくれていることを期待していたんだ。
でも…何故?
「…は、何を根拠に」
しらを切るサンは、乾いた笑い声を漏らす。
でも、サンはゼンより誤魔化すのが上手くない。
揺れる瞳が…その、証拠。
「…わかるよ。俺は…サンの弟だから」
理屈を並べるわけではなく。
ゼンは、静かにそれだけ言った。
見開かれたサンの瞳は、しっかりとゼンを捉えていて。
―――泣き出しそうに、見えた。