レキはどこか吹っ切れたような表情で、言葉を続ける。


「過去にいつまでも縛り付けられてたのは、俺も同じ。俺も逃げてたんだよ…ゼン」


正反対に見えるゼンとレキ。


でも、どこか似ているから、衝突してもまた、すぐに仲直りできるんだ。


「俺も少し前に進める気がする。サンキューな、ゼン…ニーナ」


レキが振り返ってお礼を言うと、ニーナはポカンと口を開けた。


「…は、…え?何であたし…」


「だってお前、俺の気持ち知ってただろ?」


しれっと言い放つレキに、未だに口を開けたままのニーナ。


「俺が引きずってんの知ってて、わざとつっかかったりしてただろ?」


まぁ容赦なさすぎだったけどー、と笑うレキに、ニーナは徐々に顔を赤くする。


「…な!何言ってんのよ!自意識過剰なんじゃないの!?」


「ニ、ニーナ…」


何だか嫌な予感がして、私はニーナに声をかける。


けどニーナは私の制止を聞かずに、早口でまくし立て始めた。