レキの表情が、さらに悲しそうに歪む。


「逃げんなゼン!!」


「…逃げてない」


「逃げてんだろ!?」


「―――…っ、逃げてない!!」


そこで初めて、ゼンが声を荒げ、振り返った。


そのときのゼンの表情は、何故か…泣きそうに見えた。


「…暫く、一人にして」


そう告げると、ゼンは扉の向こうに消えた。


扉の閉まる音が、虚しく部屋に響く。


その音は…ゼンの心を閉ざす音にも聞こえた。


「………」


レキが大きなため息と共に、片手で顔を覆った。


「バカゼン…!俺のこと何だと思ってんだよ…!」


本当に悔しそうに、眉間にしわを寄せるレキに、私は様子を伺いつつも口を開いた。


「レキ…今の…どういう意味?」


私の問いに答えたのは、困ったように眉を下げたニーナだった。


「ララ、さっきの三人の神様の話、覚えてるでしょ?」


「え?…うん」