どこにいるかわからない海賊の彼が、生きている保証なんて…どこにもなかった。


逢いたいという想いが強くなればなるほど、不安は大きくなって。


…どうすればいいのか、わからなくなるんだ。


「不安に支配されてたって、何も変わらない」


静かに、けれど凜と響くゼンの声に、私は涙を流したまま、俯いていた顔を上げた。


「…あんたは、どうしたいの」


あの日、初めて出逢った日のゼンが、ここにいた。


優しく、どこか力強さを宿した瞳で、私を見ている。


だから…私はあの日、ゼンについていこうって決めたんだ。


「私…私は、ゼンたちと旅を続けたい」


彼に、ロジーに逢うことだけを目的に生きてきた私に、新しい世界を教えてくれた。


自分の身体で、新しい世界に触れる喜びを…教えてくれた。



幾筋もの新しい光を与えてくれたみんなのそばに、私はいたい。


たとえ…ロジーに逢えなかったとしても。


ううん、みんなといれば…きっと逢える。