そう過去形にしたことで、今まで考えないようにしていた想いが、溢れ出す。


「…でも…でも。私のこの行動は、意味があるのかな」


答えなんて出ないのに、私はゼンに訴えかける。


「…何で」


「だって…!」


たった一言、ゼンの言葉を聞いただけなのに。


流せずにいた涙が、簡単に零れ落ちた。



…わかってる。わかってた。


この広い世界から彼を捜すには、私は小さすぎるって。



それに…必ず、と約束した彼が、海賊を名乗っていたこと。


何年待っても、彼が来なかった理由。



私は両手を強く握りしめ、一番望まない、最悪な結果を口にした。



「もう…彼はいないかもしれないのに…!」



考えないようにしていたのに、リジェの死に直面した私は、考えずにはいられなかった。


…ううん。



海賊は、"死"と隣り合わせで生きている。


そのゼンの言葉を初めて聞いたあの日から、ずっとかもしれない。