頭を何かで殴られたような衝撃が走った。


ゼンたちと…離れる?


「どうして…」


乾いた唇を、ゆっくりと動かした。


ゼンは相変わらずの表情で、その心の中はわからない。


「…最初に、言ったはずだ。海賊は、"死"と隣り合わせで生きてるって」


ついさっきの出来事を思い出して、体が震えた。


今は涙を流すときじゃないと判断した私は、リジェを想う気持ちを押し殺す。



…それは、わかってる。

嫌ってほど実感したから。


―――けど。


「けど、ゼン…!私は、自分の身は自分で護るって約束したよ!」


そう言った私に、ゼンは首を横に振った。


「…それが出来ないから、駄目なんだ。あんたの命は、絶対に護らなくちゃならない」


―――"あんたが、人魚の神の子だから"


聞こえないゼンの声が、聞こえた気がした。



誰かの命を護ることは、難しい。


同時に自分の命も護るなら…なおさら。