その疑問を深く考える暇もなく、私はいきなり開いた扉に気を取られた。
扉の奥に立っていた姿を見て、ニーナが露骨に嫌そうな顔をする。
「…げ。イズラ」
そこにいたのは…私たちのこの状況をつくった、張本人。
イズラはニーナの表情を見て、口笛を吹く。
「そんな嫌そうな顔すんなよ。そそるけどな」
くっくっ、と声を押し殺して笑うイズラに、ニーナはさらに顔をしかめた。
「…ララ。あたし、あいつ無理」
「…あはは」
何とも言えずに、私は苦笑いを返す。
イズラは私たちの様子を全く気にすることもなく、扉を閉めた。
「もう一人の娘、美人なのに無愛想だな。俺が何を話しかけても無視だぜ?」
ゼンのこと…だよね。
だって話したりしたら、ゼンが男だってバレちゃうし。
私が心の中でそんなことを考えている間に、イズラはこの部屋にひとつだけあるベッドに腰かけた。