ニーナは苦しそうに笑うと、続けた。


「あたしの為にも、レキの為にも…この気持ちは、伝えたらいけないの」


「…ニーナ」


胸の奧が、ぎゅうっと誰かに掴まれたみたいに苦しい。


今ここで私が何を言ったって…ニーナにとっては、何の慰めにもならない気がした。



私が何を言おうかと躊躇っていると、ニーナは人差し指を口元にあてて言った。


「…内緒ね、ララ」


私は、静かに微笑んだニーナを見て、


「うん」


ニーナの恋を、優しく見守ろうって決めた。


私の答えに、ニーナは再び笑って、「そうだ、」と両手をぽんと合わせた。


「ララは?…もしかして、ゼンのこと好きだったりしちゃう?」


にやにやと愉しげな表情を浮かべるニーナに、私は顔を真っ赤にした。


「なっ…、違うよ!ゼンは、そんなんじゃないよ」


ゼンは無愛想だけど、本当は優しいって知ってる。


人の気持ちに敏感で、気を配ってくれてるのもわかる。