帰ろうとした彼女の腕をとっさに掴んでしまったのは、 風邪だけのせいにはできないよな。 帰ってほしくなかった。 もうしばらく…… あとしばらくだけ…… ごめん、カズマ。 俺のわがままこれ1回だけだから。 今度目が覚めたら、 朝が来たら、 今度こそ彼女は「ただの女」になるから。 にするから。 そして俺はまた目を閉じた。