ゆぅさんの言葉が雪の中によみがえる。



「音楽は自分のためじゃなくて、大事な人のために作るんだ」

「大切なものは目に見えない」



人の為。


大事な人のために。



そして、大切なものは目に見えない・・・。



俺は、胸を押さえた。



指輪はなくなったけど・・・俺の想いは・・・?




モノではない俺の中の何かがはじけた気がした。



頭の中にめぐるメロディーが俺の口から音となって耳に入っていく。



ピアノはないけど、まるで夜の空に舞う真っ白な雪が鍵盤のように、見えたんだ。



手を動かすと、耳の中で音楽が流れていく。



あの日、キミに届けた音楽。


その時、俺は幸せだったんだ。


確かに、幸せだったんだ。