雪の勢いが少し増した、と思った。
もちろん誰もいない暗闇の中の野外ステージに、雪が吹き付けるように降り続けている。
俺は、閉じられたステージを見ながら、
あの時、彼女が座っていたあたりの座席に腰をかけた。
さまざまな思い出が胸によぎる。
涙ぐんだ彼女の顔。
抱きしめた時の甘い香り。
そして、俺の名前を呼ぶ時の少しこそばゆい気持ち。
俺さ、やきもちなんて、初めてだったんだぜ。
ぎゅーっと締め付けられるような胸の痛みも。
人を愛するっていう感覚も。
雪が頭に、肩に。少しずつ雨になる速度を遅くして、白い模様を描いていく。
目を閉じると、
なぜかゆぅさんの顔が思い浮かんだ。
ゆぅさんと音楽を作った日々。
すげぇ楽しかった。
あの頃、なんであんなに楽しかったんだろう・・・?