「陽菜は、多分少し思い出しかけてるのかもしれない・・・けど、それでこいつがくるしむなら、俺は全力をかけてそれを防ぎたいんだ」
「・・・・・」
「陽斗、お前には悪いと思うけど、俺の一番大事なものは陽菜だから」
だから、なんで結婚なんだよ。
「お前にも参加してもらおうと思ってるから、一応それだけは言っておく」
だから・・・っ!
なんでだよっ!
「カズマ!!」
荒げた俺の声が、部屋に響きわたった。
「うぅ・・・・ん」
その時、聞こえた彼女の声に、俺の体も声もまた張り付いたように動かなくなってしまった。
「陽菜?大丈夫だよ・・・」
語りかけるカズマの声がとても優しくて、
彼女は目を開けないまままた少し微笑んで眠りについた。