「大丈夫でしょう」
誰ともなしに告げられた医師の言葉に、まずカズマがベッドの横の椅子に腰掛け大きく息をついた。
俺は、今さらながらさっきの彼女の青白い顔と苦しそうな息遣いがこの腕の中によみがえってくるのを感じ、体が震えているのにやっと気づいた。
しばらくの沈黙の後、カズマは俺を見ないで言葉を発した。
「これで・・・わかっただろう?」
「・・・・・っ」
カズマの言いたいこと。それは俺が彼女から離れた理由。
記憶のフラッシュバック。
あの時間が戻って欲しいという俺の願いが、彼女を傷つけることになってしまうんだ。