医務室で陽菜を降ろすと、
かすかに彼女の手が俺の指を握り返したような気がしたけど、それも一瞬で。
あわただしくかけられた布団にあっさりとその繋がりはほどけてしまった。
「陽菜っ!」
ドアのところで呆然と立ちすくむ俺の体を弾き飛ばすようにして走りこんできたのは、
カズマだった。
「陽菜?陽菜!?」
何度も彼女の名前を呼びながら、彼女の手を握るカズマの姿に、
俺はしびれたような感覚が続く頭の中で、2年間という時間を重く感じていた。
カズマは、いつもこうやって近くにいたんだ。
この2年間、彼女を守っていたのは・・・カズマだ。