陽菜が病室に入ってから、扉には面会謝絶の札が貼られた。
「陽斗・・・ちょっといいか?」
カズマに声をかけられ、ようやくはっとする。
黙ったまま、カズマに続く。
なにもかも悪い夢の中の出来事のように、足がふわふわしている。
通されたのは、面会室、と書かれた一室で。
カズマは深刻な顔をして俺を見つめた。
「今、紺野から連絡があった。今回の事・・・ヒカリらしいんだ」
は?
視線が定まらない。頭に血が上っていくのだけが妙に生々しくわかった。
ヒカリ・・・?
「あいつから電話があったらしい・・・」
俺は、聞きながら、窓の外を眺めていた。
夕闇が空を染めていく。
さっきまでの雪がいつの間にかやんでいる。
ぼんやりとした世界。