タクシーに乗り込み、紺野に聞いた病院の名前を言う。
何、言ってんだよ。
あいつ、今朝笑ってたんだ。
「今夜、ツリー見に行こうね」って・・・・・・。
「あ~雪ですね~」
運転手が渋滞で止まった車の窓から外を眺める。
いったんやんでいた雪がまたふわふわと舞い落ちてくるのが見えた。
陽菜。
ウソだよな。
なんかの、
なんかの間違いだろ?
俺はカバンから携帯を取り出し震える手でゆっくり番号を押した。
お願い、出てくれ・・・っ!
『陽斗?』
いつものように聞こえるはずの俺を呼ぶ愛しい人の声はなくて、
聞こえるのは、不在を知らせる機械音だけ。