浩美は前田に顔を向け直し口元を緩めると、


「いや、全然大丈夫。」


と、返事をするとゆっくりとペンを滑らせて再び日報を書きはじめた。


そこへ作業着に着替え終わって戻ってきた虎に前田は頭かきかき来週のオーディションの事を話している。


― みんな人知れずに色々な事をしてるんだなぁ。ただ頭の中で夢を描いているだけで行動をおこさなければ何も始まらない…、それはわかってはいるけれど… ―


「おはようございまーす。」


他の連中も次々に出勤してきた。


「おいぃ~す」