まぁ、現場仕事でよくいる(?)人間だ。


今は地道に頑張っていつか大物になってやる!


と、夢に向かって燃えている。


そんな前田を浩美は羨ましく思っていた。


― 今の俺にはなにもないな。一度きりの人生このままでいいのかい?… ―


浩美は自分に問いただしていた。


「あっ、そうだ!浩美さん。」


「んっ?どした?」


浩美は煙草の火を消して、作業日報を書き始めていた。


「実は来週オーディションがあるんですよ。」


前田は何やら楽しげにしている。