午前七時三十分、桜木町駅の改札のすぐわき。


「遅いなぁ……」


少しイラついているようだ。


浩美は人を待っていた。


人といってもこの世で愛しい彼女を待っているわけではない。


仕事の新入りを待っているのだ。


もし彼女との楽しいデートの待ち合わせだったら、

こんな時間に汚れた作業着で、

こんなにイライラせずに待っていられるだろう。