「貸せ」


何を思ったか、龍矢が私の持ってたタオルを取り上げた。


そして、それで私の足を拭きだした。


「自分で・・・」


「いいから黙ってろ」


丁寧に。


まるで、ガラス細工を扱うように。


最後に、さっき脱いでしまったミュールをはかせてくれた。


「ありがと」


そう言うと、髪をくしゃくしゃされた。


「閉めるぞ」


「うん」


私が足を引っこめると、バタンと龍矢がドアを閉めた。


それから、運転席に座った。


車のエンジンをかけて、発進させた。