そう言うと、龍矢は私を抱き上げた。


「ちょっ、自分で歩くから」


「どうせまた、コケるだろ」


「コケないから」


暗くてよかった。


じゃないと、真っ赤になった顔。


龍矢に見られるとこだった。


いつまでたっても、この格好は慣れない。


お姫様だっこ。


私をコンクリートのブロックの上に座らせると。


龍矢は助手席のドアを開けた。


また私を抱き上げて、足が外に出るように助手席のシートに座らせた。


「足汚れてる」


「タオルあるから」


自分のかばんから、タオルを取り出した。