「はい。お久しぶりです」


奥さんが、龍矢を見るとうれしそうな声をあげた。


「また来てくれたのね」


「はい。妻を連れて」


「うれしいわ。社長さんなんて立派なものやってるから、こんな店忘れてるかと思ったわ」


「そんなことないですよ。子供ときからよく来てましたから」


「うれしいわ」


奥さんはずっとニコニコしてる。


「あなたが龍矢君の?」


奥さんが私を見た。


「はい。美和です」


「お似合いねー」


そう言って、さらににっこりほほ笑んだ。


ちょっと太った奥さんは、笑顔がよく似合った。


「おい、いつまでも立たせてないで座らせたらどうだ?」