病院に着く間、龍矢はずっと私の腰をさすってくれてた。


規則正しく痛みがやってくる。


それでも、痛みを感じてる時間は短い。


「ねえ、龍矢」


「ん?」


「鼻から息吸って、口から吐くとリラックスできるって言ってたね」


「ああ」


俺が一回だけついて行った母子教室で、そう言ってた。


美和の顔にかかった髪をよけてやった。


病院に着くと、美和は陣痛室に連れてかれた。


俺も一緒に入って行く。


親父とお袋は、外に居るからと言って、中まで入ってこなかった。


「美和」


俺は美和の腰をさすって、名前を呼ぶことしか出来なかった。


外は明るくなり始めてた。