「えっ?何も読んでないよ」


「嘘つけ。顔に書いてある」


「あっ!」


龍矢が私から母子手帳を取り上げた。


中にはさんであった紙が、ヒラヒラ床に落ちた。


「なに?」


龍矢がそれを拾って、読み始めた。


あーあ。


ばれちゃった。


「何で隠してた」


「だって忙しいかなって思って」


龍矢が拾った紙は、病院でやる両親学級のお知らせの手紙。


「行く」


「いいの?」


「俺だって、勉強したい」