龍矢が少ししゃがんで、お腹に話しかけた。


ごめんな、だって。


私には、悪かったしか言わないのに。


「帰るか」


そう言って、私の手をとった。


「龍矢の手、冷たい」


「ああ。コートしか着てこなかった」


「いいよ。私が温めてあげる」


つながれた手を、もう一個の手で包んだ。


「温かい?」


「ああ」


「よかった」


雪の中を走ってきた龍矢の手と。


暖房の中に居た私の手。


つながったら、ちょうどいい温度になった。