「だって私、三木会社には用はないもん。隣のビルだし」


「普通そこまで、送ってくだろ」


「えーいいよ。龍矢、仕事遅れるよ」


「大丈夫だから行くぞ」


そう言って、私の手を引いた。


教室をしてるキッチンまでしっかり私を送り届けて。


「終わったらメールしろ」


そう言い残して、龍矢は仕事に行った。


「心配症」


龍矢の後姿を見送りながら、呟いた。


しばらくすると、川上さんと小林さんが姿を現した。


「さっき社長と会ったわよ」


私の顔を見るなり、小林さんがそう言った。


「ここまでついて来たんです」


「ついて来たねー」