「耳元で怒鳴らないでよ」


耳、キーンってなったよ。


「お前ほんとに自覚しろよ。妊婦だって」


「今のは龍矢が悪い!」


「あ?」


「大声出さなければ、なんともなかった」


「だったら、大声出させないようにしろ」


お墓の前だってこと忘れて、二人でにらみ合ってた。


しばらくにらみ合ってると。


「あらあら喧嘩かい?」


知らないおばあさんが話しかけてきた。


「お墓の前でよくないよ」


そう言って、自分のお墓の方に行ってしまった。


「ごめん、お母さん」


「すみません」