「辛いね」


由衣が私の手を握った。


その一言で、また涙が出てきた。


つわりくらいって思ってた。


でも、食べれないって辛い。


赤ちゃんのことも、考えちゃうし。


それに。


自分が食べ物の仕事にかかわってるから。


食べるのも、作るのも好きだし。


由衣はしばらく私が泣くのに、付き合ってくれた。


それから。


「今度は家に行くね」


そう言って、帰って行った。


「龍矢」


早く帰って来て。