龍矢が、力強くうなずいた。


「うれしい」


「俺もうれしい」


龍矢は、私の涙をそっと手で拭いた。


「ありがとう、美和」


「龍矢」


涙は、いつまでも止まらない。


「泣くな。もう泣き虫も卒業だ」


「うん。お母さんになるんだもんね」


「ああ」


「龍矢は、お父さんだ」


「ああ」


私の中に育った、小さな命。


「大切に育てような」


「うん」