「最近、龍矢忙しいなぁって思っただけ」


隣に居た山下さんは、いつの間にかいなくなってた。


「ほんとにそれだけか?」


「うん、そうだよ」


周りを通る人たちが、興味深かそうに私たちを見ていく。


それでも足を止めてやじ馬にならないのは、龍矢が社長だから。


「ちゃんと言え。思ってること全部」


「・・・最近あんまり話してないなぁて思っただけ」


そう言ったら、龍矢からため息が聞こえた。


ため息つかないでよ。


悲しくなるじゃん。


「悪かった。それは俺も思ってたから」


「龍矢?」


もしかして。


ずっと同じ気持ちだった?