今まで意識してなかったけど。


私って見られてたんだ。


私だけじゃない。


龍矢も。


たぶん龍矢はそのことわかってて、一所懸命仕事してるんだ。


どんな社員に見られても恥ずかしくないように。


そう思うと、急に自分が恥ずかしくなった。


話す時間が欲しいとか。


やっぱり、私のわがままで。


そんなことより、ちゃんと龍矢をサポートしてあげなくちゃいけないのに。


自分のことしか考えてなかった。


「美和ちゃん?」


急に黙り込んでしまった私に、山下さんが心配そうにこっちを見た。


「あっあの、戻ります」


「じゃあ行こうかって思ったんだけど、僕先行くね」


「えっ?」