唇が離れた第一声。


「バカとはなによ。バカとは」


「俺以外の男と、二人っきりになるからだ」


「たまたまでしょ」


「どうだか」


そう言って、私の髪をクルクル自分の指に巻き付ける。


「ずいぶん仲がいいことで」


「それは・・なんていうか」


「なに?言ってみたら?」


「心君は、弟みたいな存在で」


「弟ね」


「なによ」


「別に」


「龍矢は、私が男の人と二人っきりになるのが気にくわないんでしょ?」


「当たり前だ」