一瞬反応が、遅れてしまった。


「あの、先生のも味見させてくれますか?」


この教室では、比較的若い人たちだった。


20代前半って感じかな。


「あっ、どうぞ」


「いただきます」


二人が、同時に口に入れた。


「おいしい」


「でも・・・」


「お二人が作ったのと、変わりないでしょ?」


「はい」


「ポイントを掴んでおけば、誰でもおいしく作れるってことです」


「そっか。じゃあ今までは、ポイントを掴みきれてなかったってことですか?」


「そーゆーことかな。やっぱり、本だけじゃわかりづらいこともあるから」


「そうですよね」