「はい、ここまで出来たらあとは焼くだけです」


私の前には、丸い形をしたクッキー


「焼くのは皆さん同時にしてしまうので、鉄板の上に名前の書いた紙を置いて、その上に、クッキングシートを敷いてください。では、始めてください」


ぞろぞろと、自分の場所に戻って行く生徒さん。


ホッと息を吐いた。


「完璧だったじゃない」


「そんなことないですよ」


川上さんがにっこり私に微笑んだ。


それから、川上さんと二人で教室中を回って歩いた。


質問されたり、アドバイスをしたり。


正直、こんなに若い私が受け入れられるか不安だった。


三木会社っていう、大手がやるお菓子作りの教室だから。


もっといい、先生を期待して入って来る人もいたと思うから。


もちろん、宣伝の段階で私の名前は出てたけど。


名前は聞いたことないけど。


きっといい先生なんじゃないかって、期待してた人は多いと思う。